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塑性法のねじ締めにドキドキ [N1仕様エンジンの製作]

さて、道具を集めたら、さっそく作業開始ですよ。いよいよですよ。長かったですよバラバラの4E-FEエンジン。
二人で、エンジンブロックに仮止めされたクランクシャフトとコンロッドを前に
「・・・・・・」

CLUNK.gif

え、いや、なに・・・・いきなりなんですけどね。我々のバイブル「4E-FEエンジン修理書」を毎回毎回、一番最初のページからめくって、順番に作業していくんですけどね。
いよいよなんですよ。一番最初の方のページに書いてあった「読み方がわからない」ねじの締め付け方法の話。

・クランクシャフトを取り付けるボルト
・コンロッドを取り付けるボルト
・ヘッドブロックを取り付けるボルト
のこの3点については・・・なんて読むの?この漢字。オーナー?
そせい域・・・・かな。たぶん。塑性域締めボルトの締め付け方法について」って書いてある。
「ソセイホウ?なんか聞いた事無い言葉だね。ただ・・・なんかとっても重要な事が書いてあるような気がする。なになに・・・”規定トルクで締め付けた後、さらに90°1回または、さらに90°を1回締め付ける場合もある”って・・・・どっちなんだよ!トヨタ!」

「・・・・はい。オーナー、この一回もカチッてならないトルクレンチ使って、締め付けて。」
「え・・・・なんかやだなあ。このトルクレンチ、ホントに使って大丈夫なのかな。う〜ん・・・」
と二人でエンジンブロックを前にフリーズしているところに、AE86レースの彼が登場。

「・・・・ねえ、聞いていい?この保管ガレージに住んでるでしょう?」
「毎回毎回同じ質問だから。気のせいだから。二人が珍しくガレージに来てると思って、覗きに来たんだよ。」
事情を話すと・・・・なんかプレート型のトルクレンチを持ってきてくれた。

「エンジンの整備をやる場合は、プリセット型のトルクレンチじゃダメだよ。ちゃんと自分の手で”どれぐらい力をかけているのか”常に目視しながら、ねじ締め作業をしないと。はい。このトルクレンチを使って、作業して。貸すから。」
え・・・・やだよ。その・・・「なんとか法ってねじを触ると呪われるような気がする。」(気のせいです。)

結局、最初のうちは、AE86レースの彼が手本を見せてくれる事になった。
「え〜と・・・なんかよくわからないけど、規定トルクで締め付けしたわけね。その少々不安があるプリセット型トルクレンチで。」
「うん。この本に書いてある数値通りでセットした。」
「よし。じゃあ・・・まず、プレートで今のトルク値を調べて・・・・お、ちゃんとかかってるじゃん。締め付けトルク。それで・・・ここから90°締め込むの?ふ〜ん・・・」

BOLT.gif

なんだか・・・4A-GEエンジンを何度も組み立てている彼をもってしても・・・困惑の事態らしい。
「い、いやいや・・・これ、ほんとに回し込むの?ちょっと待った。回り込まないぞ。ほんっとにそういう風にしろって、本に書いてあるの?」
三人で本を覗き込んで確認。

「この整備内容のところには規定トルクについてしか書いてないじゃん。」
「いや、ホントに書いてあるんだよ。ほら、このエンジン修理書の最初の方のページに。」
「え〜・・・・これじゃあ、見落とす人が出るぞ。なになに・・・ほんとだ。なんか・・・今、規定トルクがかかっちゃって、これ以上締め込めない感じなのにさらに回しこめって書いてある。・・・・このボルトって、新品使ってる?ちゃんと。」
「うん、ガレージオーナーにきつく言われた。少なくとも、コンロッドとクランクの取り付けボルトは必ず新品にしろって。」
「・・・・じゃあ、やってみるか。ホントに気合いを入れて。」

この作業・・・いくらエンジンスタンドを使っているって言っても・・・大人3人がかりの作業。
思いっきりボルトを回し込む人の他に、エンジンスタンド全体を押さえる人が二人必要。なんだか・・・・プレート型トルクレンチが、信じられないぐらい弓なりにしなってる。大丈夫?それ。

「よ、よ〜しよし。クランク取り付けボルトを半分回しこんだぞ。こりゃあ、ものすごく体力が必要だよ。はい。練習のつもりで、自分たちで回してみな。」
え・・・・私にプレート型トルクレンチを渡されても・・・オーナーにそのままパ〜ス!まかせた!オーナーの車だからね。このEP82。
なんか、今ものすっごく重要な場面のような気がする。

オーナーが回し込み作業を開始して・・・・AE86レースの彼から注意。
「体全体を使って回し込み作業をしちゃダメだよ・・・」って言ってるそばから、トルクレンチがずれて・・・あっぶねえ!

オーナー・・・思いっきり、倒れ込んじゃった。危なかった。
「ほら、言ったろ。体全体を使ったら、万が一の時、本当に倒れちゃうんだ。今は、空の下で作業していたから、たまたま何もなかったけど、これが普通のガレージだったら、周辺に置いてあるものにぶつかって、大変なケガになっていたかもよ。」

なんか・・・なんて言うんですかね。柔道とかの技の指導って感じ。
「ちゃんと足を肩幅に開いて・・・ちゃんと締め付けるボルトの前に体の真ん中を持ってくるんだ。肩から先だけを使って、肘で作業する感じ。体重を使って、回し込まない。そうそう。いい感じ。」
ふい〜・・・・何とか全部を回し込めたよ。ありがとう。え、オレ、エンジンスタンドを押さえていただけだけど、ものすごく疲れた。

「どれどれ。レンチ持ってきてみな。クランクを回してみよう。」


「う〜ん???いや、ちょっと回させてみて。う〜ん????」
なに?普通にちゃんと回ってるじゃん。大成功だよ。

「いや・・・なんか・・・おかしいこのクランク。ある気筒のところだけ、引っかかりがある感じだ。」
?????なんか真剣にコンロッドの取り付け部を左右に揺さぶってる。
「ああ・・・やっぱりダメだ。このピストン。」

は?大問題発生?ここまでやってきたのに?だって、ちゃんとシリンダーやピストンの径とかまで測定したよ。すごくめんどくさいって思いながら作業してきたけど。
「あ、違う違う。そういう寸法の測定が簡単にできるところの話じゃない。このエンジン、”コンロッドの反り”は測定していないでしょ?」

?????なにそれ?どうやったらわかるの?

CONLOD.gif

それぞれのピストンのところ(コンロッドボルトのところ)を左右に(エンジン全長方向に)揺さぶって実演してくれた。
「ほら・・・1番シリンダーのところだけ、他の3つに比べるとまったく”遊び”がないでしょ?」
「うん・・・でも、このエンジンにそのまま組まれていたんだよ。ピストンとシリンダーの位置関係も間違ってないよ。」
「このままとぼけて組んじゃって・・・・」
「う〜ん・・・良くないなあ。街乗りだったら、これで済んでいたのかもしれないけど、俺たちがやるのは、”まともなエンジンの回し方”じゃないでしょ?」

・・・・どうしよう。ここまで来て挫折?一年経っちゃったよ。

AE86レースの彼が、壊れたエンジンで1個だけ無事に残ったピストンをものすごく真剣に眺めて・・・

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「壊れたエンジンってさ、ものすごく手がかかってたんだよ。ほら、ちゃんと重量あわせの痕がある。」

CONLODKAKO.gif

あ、ほんとだ。全然気がつかなかった。コネクティングロッドのお尻のところが削られてる。
「どうするよ?今の状態だと、4個中、1個のピストンだけが奇妙に軽く回る事になるよ。ある種アンバランス。」
いや・・・いいよ。どっちにしてもN1規定って、”1個のピストンは、無加工の事”ってなってるんだから。
削る方法も知らないし、だいたい”はかり”を持ってない。

ピストンとシリンダーヘッドにそれぞれ番号が打ってあるらしい。
「大丈夫。これだったら、1番シリンダーの中に入れられるピストンだから。ちょっと交換してみな。」
コネクティングロッドの取り付け方も指導された。
「どうでもいいから、はめ込んでナットを付けるんじゃなくて、ロッドの脇にマークがついているから、そのマークがちゃんと合うように組み合わせるんだ。」

CONLODMARK.gif

買っておいたピストンリングプライヤーを使って、ピストンを交換して・・・再びクランクを回す。
「よ〜しよし!これなら大丈夫だ。なんか・・・ひょっとしたら、このエンジン、ものすごく具合が良いかもよ。」

後で、オーナーと二人でクランクを再び回させてもらったけど・・・・なんだかよくわからないや。さっきとの違い。

「ふう・・・ほら、1番シリンダーのところ、ちゃんとコンロッドが少し、カタカタいうだろ。他の3つのシリンダーと同じぐらい。これぐらい遊びがないと絶対ダメなんだ。うまく交換可能なピストンがあって良かったよ。それじゃ、このピストンのリングをこっちの取り付けようとしていた、新品ピストンリングと交換して、もう一度塑性域までねじ込むんだよ。」

”コンロッド曲がり”のピストンが手渡されて・・・あ、バインと。おっこどした。まあ、いいか。ダメピストンなんだから。

・・・・取り上げたピストンを眺めると・・・なんかとっても不吉な状況。
・・・・2番目のピストンリングが・・・・砕けてないか?
目をこすって、よ〜くみて見るけど・・・やっぱりそうだ。溝の中で粉々になっちゃってる。
なんだよ〜・・・ピストンリングって、そんなに簡単に壊れちゃうのか〜。っていうか、このピストンリングって入手に1ヶ月以上かかったよ。ええ〜!どうする????また一ヶ月半待ち????


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